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~回想、或は現実逃避~
キーンコーンカーンコーン
授業終了の鐘が鳴った。
いや、今日は終業式だったから今学期終了の鐘でもあるな。
と、適当に考えつつ席を立ち教室をでる。
出入り口の脇に担任の川澄が立っていて、生徒にさよならを言っている。
俺が軽く会釈をしつつ通ろうとしたその時、不吉な言葉が聞こえた。
「井ノ上君、また明日」
……まてまて『明日?』明日はクリスマスで、なんの予定もないがゴロゴロするつもりなんだが………。
そうか!間違えたんだな、川澄はほにゃほにゃしてるから誰かと間違えたんだよ。
勿論ただの現実逃避だ。苗字に『い』がつくどころかこのクラスにはあ行の生徒は俺しかいないし、思い当たる事もいくつかある。
黒板に補習の日程が書かれているし、赤点を取ってしまった記憶もある。
打ちひしがれる俺を尻目に教室は生徒を吐き出し、残ったのは打ちひしがれる屍が二匹と教師一匹。
どうやら俺が打ちひしがれている間に、もう一匹が死刑宣告を喰らったらしい。
二匹の屍は川澄ティーチャーから死刑の日程を改めて聞かされ、校外に放された。
~回想終了~
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