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「翔、さっきからおかしいぞ」 「ごめん……ちょっと体育がきつかったから」 「そうか」 さっき見た物は何? 何ってわかっているくせに どうしてこんなにイライラしている? 俺を助けてくれたのは冬矢なのに もし冬矢が同じ事をしていてもこんな気持ちになるだろうか 冬矢はすごく優しくていつも傍に居てくれて…… だけど、それ以上の感情は……… 「翔?」 「あっ……ごめん…」 「お前、何故泣いているんだ」 「泣いてる?まさか……」 「何があったんだ」 「本当に何でもないんだ……ごめん、顔洗ってくる」 何で俺は泣いているんだろう 馬鹿みたい ………もしかしたら和海が俺の事を想ってくれてるかもなんて勝手に勘違いして…… 俺の思い過ごしだったんだ 「ホントに馬鹿みたい」 冷たい水で顔を洗いながら泣いた 俺は和海が好きだったんだ 今頃気付いても遅いのに あんな場面を見てしまった以上俺は…… 鏡を見つめながら呟いた 「……ムカつく」 (どうした?) 「何で誰とでも出来るんだよ……だったら俺もそいつらと同じだったのかよ……やれれば誰でも優しくするのかよ」 (翔を泣かせる奴は許せない……大丈夫、俺があいつを消してあげる) 「………消す」 (うん、翔を泣かせる奴はみんな消してあげるから泣かないで笑って) 「笑って……」 (そう、いつものように笑って) 「………ダメ…和海を消してはダメ」 (心配しなくてもいいよ……天使はいつも笑っていればいい) 「ダメ……」 (クスッ) 鏡から顔を背け、部屋に戻った ダメ……和海にはムカつくけど消えるのはいや 「翔……」 「ごめんね、ホントに何でもないんだ……」 「わかった……夕食は?」 「うん」 「和海も誘うんだろ?」 「……今日は二人で食べよう」 「翔がそれでいいなら」 「うん」 今は和海に会いたくない きっと和海も俺には会いたくないはずだから 冬矢と食堂に向かい無理して食事をした なんの味も感じない食事 頭の中で今日見た光景が鮮明に浮かび上がるのを何度も打ち消した
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