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このまま学園に戻るつもりもなかった しかし翔は毎日、俺の真新しい教科書で楽しそうに勉強していた (勉強が好きなのか?) (勉強って今しか出来ない事だから……大人になってしまったら仕事しか出来ない……だから大人になる前の僅かな時間は勉強をしたいんだ) (お前、今何年だ?) (2年だよ……でも親が授業料を滞納したから退学になったけどね) (俺もサボりまくったから留年して翔と同じだな) (冬矢は学園に行くべきだよ……俺の代わりに行きなよ) (いや、翔も行こう) (えっ?) (だから試験に受かるように勉強しろ) (でも) (俺の親が理事をやってる学園なら……) (嬉しいけど俺学費が……) (出世払いでいい) (だけど) (翔、頼むからもう少し俺に甘えてくれ……それに翔をこの家に連れて来た責任もある) (違うよ、冬矢は俺の恩人だよ……あの時拾ってもらえた事に感謝しているんだ……俺、あの日食べる為に体を売るつもりでずっと街を……でもなかなか決心がつかなくて……幻滅したでしょ) (いや、拾った訳じゃない……出会ったんだ……) (冬矢) (俺はお前に見返りなど求めたりしない……傍にいるだけでいいから……どこにも行かないでくれ) (冬矢が俺を突き放さない限り俺は傍に居るよ) (ありがとう) (やだな……ありがとうは俺の台詞) そして翔は優秀な成績で学園に編入する事が出来た 正直、全く顔も合わせていない親に頭をさげたくはなかったが翔の為なら我慢できた わざと和海から離れていたはずなのに でもよかった 翔のおかげで和海への気持ちもいつの間にか消えていた 翔が現れなければ俺は……今でも和海を愛しつづけて一人で暗い闇の中でもがき苦しみ続けていたんだろう 「冬矢、先にシャワー浴びて来るね」 「お腹空いてるなら一緒に入るか?」 「ん~?」 「いや、変な意味じゃ」 「やだな、いつも一緒に入ってるのに……でも今日はシャワーだけだからすぐだよ」 「わかった」 確かに一緒に入っているが、俺が目のやり場に困っている事を知っているのだろうか 「知る訳ないか……」 俺がいい友人でいる限り、翔は傍に居てくれる だから俺の気持ちはずっと隠し続けると決めたんだ
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