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「あっ」 「えっ?」 突然抱き着かれてドキドキした 「やっぱり百合の香りがする……」 「翔……」 「いつも部屋に飾っているから香りが移ったのかな……いい香り」 「翔は太陽の匂いですね」 「ん?」 「何となく」 思わず抱きしめてしまった 「太陽ってどんな匂い?」 「とても安心する暖かい匂いです」 「そっか、和海が安心出来るならいいや」 「お茶を」 「ありがとう」 本当はずっと抱きしめていたい でも抱きしめてしまうと離したくなくなる お茶を入れながら翔に尋ねた 「冬矢にも抱き着いたりするのですか?」 「やっぱりやめた方がいいのかな……俺、すぐ抱き着く癖があるみたい」 「癖?」 「昔からずっと一人だったから温もりを知らなかったんだ……冬矢に抱きしめてもらった時、初めて温もりを知ったんだ……だからつい」 「私達も昔からずっと二人でした……親の愛情などわからないまま大人になった結果がこれです」 「俺も同じ……親は昔から俺に無関心……子供にとってはかなり辛い…無関心なら最初から居ない方がいい……居れば愛情を求めてしまうから」 「今でも愛情が欲しいですか」 「………親の愛情はもういらない」 「では……私の愛情は?」 「………内緒」 「気になりますね」 「ふふっ」 うまくかわされたかな…… 「しかし今は大量に入れている砂糖が気になります」 「俺、甘いの大好き」 「6個……」 「もっと入れてもいい?」 「構いませんが……でしたらジャムを」 「ジャム?」 「はい、薔薇のジャムをこうして」 一瓶いくらするのかもわからない高級ジャムを惜しみ無くカップに入れた 「いい香り」 「飲んでみて」 「うん」 翔は素直に飲んで嬉しそうに笑った 「美味しい」 「部屋に来ればいつでも」 「マジ?」 「はい」 「んじゃまた来る」 「いつでもどうぞ」 「ねぇ」 「はい」 「ジャム……ちょっと舐めたい」 「どうぞ」 ちょっとした好奇心で、自分の指でジャムをすくい翔の前に差し出した 「あむっ」 「いかがですか」 「美味しい……」 「まだ欲しいですか?」 「うん」 今度は指ですくって翔の唇にそっとつけた それを舌で舐める翔をじっと見つめていた 「美味しかった~」 「クスッ」 やはり翔は天真爛漫な天使だ 俺がそう決めた だからそれでいいんだ
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