タイセツなモノ

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「う~ん……」 やっぱり仕事が忙しいのかも タクシーで帰ろう メールを送ろうとしたら携帯の充電が…… 「あら……」 いつもならタクシーが沢山居るのに、やっぱり変な集団の影響かな 「駅まで行けばなんとかなるかな」 なるべく明るくて人気のある道を通れば大丈夫だよね 歩きながらさっきの話を思い出していた 体の部分なら口とか足とかも? でもどうやって…… 「いたい……」 何かがぶつかったような気がする 「ごめんなさい、大丈夫ですか?」 「うん」 ソロ活動の女性だ 勇気あるね 「怖くて走って駅まで行こうとしたら転んでしまって」 「大丈夫?」 「はい、最近この辺りは事件が」 「らしいね」 「あ、あの」 「ん?」 「どちらまで?」 「駅かな」 「迷惑じゃなければご一緒しても?」 「いいよ」 これでソロ活動じゃなくなったから大丈夫だね 「ありがとうございます」 「うん」 仕事の帰りかな? こんな時間まで大変だね 「駅はこっちだよ」 「最終に乗り遅れそうなので近道を」 「わかった」 裏道を歩きながら駅に向かった 「痛っ」 「大丈夫?」 「………クスッ」 「えっ……」 その後の記憶はない 何が起こったのかなんて知らない 「…………和海」 「楓!よかった……」 「ここは」 「…………病院です」 「病院?どうして……痛い!」 「ダメです」 「…………和海…俺の腕は?」 「………っ」 「ねぇ、どうして腕がないの?和海!」 すぐに違和感に気付いた 鈍い痛みと共に 「裏道で倒れていた……どうして…一人であんな裏道を……何度連絡しても繋がらないし」 「裏道………」 俺は確かに裏道を歩いていた 女性と二人で いや、そんな事よりも…… 「出ていけ……」 「楓、落ち着いて」 「出ていけ!」 「……………楓」 俺は……… もうギターが弾けない 片手では弾けない 「ううっ……ああっーー!!返してよ、俺の左腕を……返して…うあっーーー!」 頭の中が混乱していた ベットから降りようとしてバランスを崩して倒れ込んだ 「何で……だよ…」 笑える 片腕がないだけでバランスをとる事すら出来ないなんて 死にたい もう死にたい…… 生きていても仕方がないんだ
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