タイセツなモノ

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「社長の自宅誘われるなんて光栄です」 「遠慮しないで飲んで下さい」 「ありがとうございます」 さぁ、早く睡眠薬入りの水割りを飲め 「明日はライヴですから余り飲めませんが」 「そうでしたね……オリコン1位おめでとうございます」 「いや、楓さんには申し訳ないけどずっと1位だった楓さんがあんな事になったおかげですよ」 「……………」 そんな話をしながらグラスの水割りを飲み干した 「あれ……何だか…」 「楓のおかげならお礼をしてもらわなければいけませんね」 楓には及ばない腕ですがもしかしたら気にいるかも知れません 「んっ……ここは…」 「麻酔を打ちましたので痛みはないはずです」 「えっ……ま、まさか」 「楓に腕が戻ればまた私のもとへ帰って来てくれる……さよならなんて認めない……大切なものは楓だけ……」 「や、やめろ……頼むから……」 「一瞬ですよ」 「いやだ……助けて……」 冷酷に笑いながら振り落とす日本刀 鈍い音と共に床に転がる腕 「うわぁーーー!」 「またショック死ですか」 床に落ちた腕を拾い上げ、薬品プールにそっと落とした 「こんなに腕があるのにやはり楓には似合わない」 俺は大切な楓から別れを告げられた日から楓の腕を探していた 腕を見つければきっと楓は戻ってくるはずだから 「楓……別れるなんて認めない」 俺はもう一度楓に笑って欲しいだけ 片腕でもいいからもう一度抱きしめて欲しいだけ
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