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ギイッと鳴るドアを押して店へ入ると、右へ伸びるLの字の形をしたカウンターの端に、先客が一人いた。
白髪のマスターがカウンター越しに、客と将棋を差していたようだ。
「いらっしゃい」
マスターが振り向き、にこやかに会釈した。格子柄のベストと赤い蝶ネクタイが、いかにもバーのマスターらしく似合っている。
「おや、お連れ様でしたか。ようこそ」
「こんばんは」
僕は短く挨拶して朱美の右側に座った。
「むぉっほほほっ」
先客は僕等を見て甲高い声で笑った。
何だろうか?
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