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「うむっ! 儂は待っていたのじゃ。ひやっはははは……むほほほほっ」
細く長い白髪をだらりと下げた老人は、気味の悪い声で笑い続けた。顔がシミだらけで、かなりの高齢者だ。70代後半……いや80歳に近いのではないか?
「どうじゃ、マスター。儂の勝ちじゃな?」
「参りました」
マスターは、大仰に頭を下げている。
「ふぉっほほほ。では今宵は、たらふく呑ませて貰おうかのう」
長い白髪の老人は得意げに笑い、目を細めている。
「賭けをしているのよ。次に来る客は男か、女か、カップルかって」
朱美が僕に耳打ちしてコートを脱いだ。
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