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ふと窓に眼を遣った時だ。
ブラインドの隙間からオレンジ色の空が見えた。
僕は仕事の手を止めて立ち上がり、窓辺に歩み寄った。
西の空が茜色に染まり、輝いている。
手前に浮かぶ雲は灰色のグラデーションを為して連なり、ゆっくりと流れている。
人の手では決して造り出せぬ幻想的な光景に、僕は息を呑み、しばし見とれた。
画家ならば、これを一幅の絵に留めて残したいと筆を執るだろう。
写真家ならば、迷わずシャッターを切る筈だ。
「あれはっ?」
夕空に影絵が浮かび上がった。
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