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「違うっ! もう一度。王様の耳は?」
マスターは、一呼吸置いて告げた。
「パンの耳です」
これには堪らず、朱美と僕は吹き出した。
「うぷぷっ」
「あはははは」
「すみません。お話の邪魔をしてしまいました。王先生は、地獄耳だと言わせたいのです。つまり性能の良い耳なので、あなた達の会話が聞こえてしまったのだと」
マスターが解説し、僕等は納得した。
「しかし聞かれて差し障りのある話題は、今日は控えられたほうが」
マスターが小声で告げた。
「そうね。わかりました。良介さん、あたし、お腹がすいちゃった」
彼女は続きを歩きながら話したいのだと気づいた。
「マスター、会計して下さい」
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