深慮遠謀

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「ゆくゆくは、あなたを副部長に据えるつもりなんだと思うわ。味方になる優秀な部下を揃えた上で高梨部長自身は、その上を……常務取締役を見据えているのよ。その為の人脈づくりなのよ」 「驚いた。まるで、僕と君が部長の描いたシナリオ通りに動かされているみたいだ。頭の切れる人の深慮遠謀には恐れ入ったな」 「うふふっ 嘘よ」 「えっ?」 「そんな訳がないでしょ。あなたが、あたしに接近すると言う部分は、あたしの脚色なの。あたしの願望。でも、それ以外は、まさに部長の深慮遠謀と言って間違いないと思うわ」 「なんだ、そうなのか」 「ここが、いいわ。ここに入りましょ」  朱美は【銀寿司】と紺地に白く染め抜かれた暖簾の前で足を止めた。
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