57人が本棚に入れています
本棚に追加
「ゆくゆくは、あなたを副部長に据えるつもりなんだと思うわ。味方になる優秀な部下を揃えた上で高梨部長自身は、その上を……常務取締役を見据えているのよ。その為の人脈づくりなのよ」
「驚いた。まるで、僕と君が部長の描いたシナリオ通りに動かされているみたいだ。頭の切れる人の深慮遠謀には恐れ入ったな」
「うふふっ 嘘よ」
「えっ?」
「そんな訳がないでしょ。あなたが、あたしに接近すると言う部分は、あたしの脚色なの。あたしの願望。でも、それ以外は、まさに部長の深慮遠謀と言って間違いないと思うわ」
「なんだ、そうなのか」
「ここが、いいわ。ここに入りましょ」
朱美は【銀寿司】と紺地に白く染め抜かれた暖簾の前で足を止めた。
最初のコメントを投稿しよう!