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しかし、これは作家を目指す新人が真似をすべきことではない。
彼が、そこまで自分を貫けたのは既に名前が通り、読者から支持されていると確信出来たからに違いない。
実力の無い者が同様の事をしても恐らく話題にも登らず、生意気な作家志望で片づけられてしまうだろう。
何事を主張するにも世に認められる実力をつけてからの話だ。
今日は西の方角に富士山が見える。
なだらかな稜線を持つ富士山は堂々とした偉容で常に人を見守るように在りつづけ、そこに居るだけで安心させてくれる。
この、高嶺に白雪をまとう秀麗な山は、単に観光名所の山ではなく、日本の誇りなのだ。
由香里は、この山に単純に感動して歓声を上げた。
『あっ! 良介さん、見てっ! ほら、あれ富士山なんじゃないかしら? ねっ? そうよ。すごーい』
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