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「そういうのは前もって」
「言ったらつまんねーだろ」
頬をうっすらと朱くしながら反論するのをチョコプレッツェルを押し込んで遮り、今度は背もたれに手をつき屈み込んだ俺も端っこをくわえる。
それから少しずつ齧じっては距離を縮めていく。
「ほら早くしねぇと食い切っちまうぜ」
「!……」
半分まで来たところでアーズリーを見れば困ったように目を瞑っている。
戸惑う表情ににっと口角をつりあげて笑った俺は揶揄かうように囁いた。
それにはっと瞼を持ち上げたこいつは、少し視線をさまよわせた後やがてかりっと小さな音をたてて菓子を齧じる。
互いに顔を寄せていきあとわずかというところで額がぶつかった。
「どうしたい?」
「……お前に任せる」
そのまま問いかければ上目遣いで見るアーズリーが小声で呟く。
おそらく俺が何をしようとしているか気づいているのだろう、言い切ったはものの照れたように顔を朱くし目を逸らしている。
それにくすっと笑みを零し、俺は残りと共にこいつの唇を奪うのだった。
end
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