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夢とはまた……
「らしくねーだろ?だから言いたかなかったんだよ」
「あ、いや……しかし心当たりとかはないのか?」
しかしおおざっぱ、単純という言葉が似合うこいつにしては小さな事に拘るとか考えていたら、どうやら見透かされていたらしい。
ニヤリと笑いかけられ、おれは慌ててかぶりを振る。
「ねーなぁ。てかあったらこんなに苦労しねぇよ。それに過去は振り返らない主義だし」
おれの問いにため息一つ零すヴェルテを見つめる。
確かにこいつはマスターに会う以前のことをあまり話したがらない。
だからこいつがどこにでもいる不良の一人だった、ということ以外はおれらは知る由もない。
いや、一度過去に囚われて生きられるほどここは甘くないとぼやいていたか。
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