わがままと約束

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「いって。なんだよ、ここまでする必要ねーだろ」 「うるさい。人が心配したのをつけこんだやつに言われたくない」 そこまで力をこめたわけじゃないが、わざとらしく手を当てるやつにおれは鼻を鳴らす。 それに肝心な部分はぼかしたくせに。 「人聞き悪いな。でもこんくらいがちょうどいいんだよ」 なおもへらへらとしているのに目を眇めていたが、ふと真顔になっ多かと思えばヴェルテはこちらの肩に寄りかかってきた。 「話せることなんかこれくらいしかねーけど、お前らと他愛のねぇことするだけで十分楽にはなる」 驚いてすぐ脇の後頭部を見るのと同じタイミングで、ヴェルテはそう呟く。
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