無自覚、自覚

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「お前さ、意外にというか、結構バカだろ」 「なっ」 辺りを見回すとひとけのない路地裏。 珍しくてキョロキョロしていると、手を離したヴェルテが唐突に言うのに驚いて見上げる。 何で馬鹿呼ばわりされなきゃいけないんだ。 「あんな場所であんなこと言やぁどうなるか、そろそろ予測つくだろ」 すればまったくと言わんばかりの表情で話を続けられる。 「べ、別にいうつもりなんてなかったんだ。ただ……」 そう言われればその通りであるが、こちらにも言い分はあるので、おれは視線を逸らして話す。 「うっかり?そういうところがバカだっつうの」 「ぅ……」 しかし回り込んで突っ込まれた言葉におれは今度こそ返す言葉を失う。 しかしふと違和感を感じる。 そういえば今こいつはおれのミスを怒っている。 それはわかるからいいが、その前にそもそもおれが言ったことについてはなにも触れていない。 普通まずそれに突っ込まないか?
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