Holy night

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そのままなんとなしに立ち話に付き合わされ、おれは適当に相槌を返していた。 「そんでさ、今日ヴェルを借りたんだよ。でさっき別れたばっかだからまだ店の外に居ると思うぜ」 「!そうか……ありがとう」 だがぽんと手を打って続けた内容に思わず声に出して驚きそうになる。 屋敷まで帰らなければ会えないと思っていた相手が、すぐそこにいるのだから。 とはいえ、表には出さずに呟いておれは外に出ようと身を翻した。 「ついでに面白いもんも見れるぜ!」 歩き出したおれにソーレが声をかけるのに肩越しに振り向けば、何か企んでいるかのような笑みを浮かべている。 訳が分からず眉を顰めたが、言うだけ言ったやつが早く行けと急かすので、おれは腑に落ちないまま外に出た。 それから店の裏手に回り込んだおれはあいつの言った意味を知る。
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