Holy night

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だからふと口元を緩めたこいつが引き寄せ抱き締め、口付けてくるのを今日は大人しく受け入れる。 「ホント珍しいな」 「いいだろう。せっかくのクリスマスなんだ」 くすくすと声を零しながら笑うヴェルテにおれも軽く笑って返した。 クリスマスなんだとは言ったが、以前ならきっと思いもしなかったこと。 でも誰かと一緒にいる時間の価値を知った今は悪くないと。 あまり口にだしはしないが、やはりおれはこいつが好きなんだとふと思う。 「だから今日はこのまま……」 ……一緒に居たい。 おれの言葉に首を傾げているヴェルテの耳元まで伸び上がって、そっと囁いた。 それにますます驚いているこいつにおれはただ笑ってみせる。 「そうだな、クリスマスだしな!」 すれば楽しそうに目を細めてまた抱き締めてくるので、その背中に手を回して抱き返すのだった。
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