無自覚、自覚

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「ヴェルテ」 「ん?」 「おれの不注意はわかったが、他に聞くこと……ない、のか?」 不思議に思って、まだ続く説教を遮って尋ねる。 「ああ、好きってやつ?今更だなって」 「え?ぇえ!?」 その答えは予想していたものと全く違って、おれは絶句する。 今更?は、意味が分からん。 「いやーびっくりはしたぜ?だってお前、俺みたいな奴嫌いな部類に分けてただろ?」 「そうだが、じゃなくて!なんで知っている!てか今更だと!」 驚くおれをよそにヴェルテはからりと笑うが、おれはもう収集のつかない思考のままこいつに詰め寄る。 「ぅん?だってお前って案外考えてることが顔にでてるし、ソーレの話で確信した」 「あ……」 前半は知りたくない事実だし、後半は後半で自分のミスをもう一つ知る羽目になり、おれはどうしていいかわからなくなる。 いや、いっそ消えてしまうか。 そのとき浮かんだ考えに従うように、おれは後退さる。
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