キスの行く先

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「……それと最後にね……」 ようやくいなくなるか? ふとロッサの言葉に顔をあげたのが間違いだった。 その瞬間、おれの視線の先で油断していたらしいヴェルテの腕を引いて、伸び上がってロッサが頬にキスをしている姿が。 とっさにでかかった声は、同じく驚いて叫んだあいつの声でどうにか飲み込むことができた。 仕掛けた本人は軽いいたずらだったらしく、慌てるヴェルテをよそにくすくすと笑っている。 それを見せられてしまったおれはもうどうしていいかわからずに動けなくなって。 しかしとりあえずこの場を去りたくて、気付いたら裏口からふらりと外へ出ていた。 ロッサにいたずら以外の他意などないのはわかっている。 それでも見ていい気がしないのはおれの勝手な独占欲。
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