キスの行く先

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そしてふらふらとここまできたわけだが、こんな行動をしてしまった自分に呆れてしまう。 赤くはなっていたがあいつの場合驚いただけだろうしな…… しかもさっきの情景を思い出しては、わき上がるむしゃくしゃした気持ちを払うように首を振った。 しばらくぼんやりしていたが、勢いで出てきたから上着などを忘れていてすっと通り抜けた風に体を縮める。 頭も冷えたし、帰ろうか。 いくら重ね着をしているとはいえ、二月の寒空の下でコートなしは辛いものだ。 そう、何事もなかったかのように渡せばいいだけだ。 でも今は乱れた感情を落ち着けるには役にたったようで、おれは思い直して体を起こす。 とはいえ寒いのには変わりなく。 「寒い……」 自業自得だろうが思わず呟いていた。
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