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「んな格好で出れば当たり前だ」
「!?っ、なんで……」
独り言だったはずのそれに何故か返事があった上に、頭からぱさりとなにかを被せられた。
びっくりして振り返って、さらにそこにいたやつにもっと驚く。
腰に手を当て、目を細めているのは今一番会いたくて、会いたくないヴェルテで。
「Fが出て行くのを見たけど止める間がなかったと言ってきてな。寒がりのくせにどーいうつもりだよ」
やっと落ち着いたのにまた騒ぐ感情に突っ立っていたら、こちらに手を伸ばしたヴェルテが話しながら被せたコートをかけ直してくる。
「べ、別に……すぐ戻るつもりだっただけで」
それに袖を通すも素直に答え辛くて、おれは足元に視線を落としたまま苦しい言い訳を呟いた。
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