キスの行く先

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「あ、アニキ。今兄さんが……」 しかし最悪なことにあいつに目撃されていたようで、それをFに教えられ頭を抱えたくなる。 だが足踏みしてる暇はないと、俺は二人分のコートを持って屋敷を出た。 車もバイクも残ってるってことはそう遠くには行ってない、か。 車庫を覗いて当たりをつけ、無人の街を駆ける。 数個目のビルに登ってようやく少し先のビルの屋上に姿を見つけて。 さて、どう言ったものか…… 目的地に向かいながら今更になって弁明を考えてしまう。 しかし見られた以上言い訳せずに告げるのが得策かと思い直して、足音を消しつつ階段をのぼっていく。
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