無自覚、自覚

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しかし二三歩下がったところでヴェルテに腕を掴まれ、引き止められる。 「今更言うだけ言って逃げるのはなしだぜ。それに俺まだ答えてないし」 「っ、なしにしろ!言ったこと全部なかったことに」 おれを見下ろし笑うヴェルテに、半ば喚くように言って手をほどこうとする。 「やだっつたら?」 「うるさい!」 「だから、俺もアズのこと好きなんだよ」 が、力でこいつにかなうわけもなく、無駄な抵抗を続けているとそんなことを言われる。 それに睨み返すも、さらに告げられた言葉におれは思わず手を止める。 俺も、って……? 「意味が分からん」 「わ、つれねーな。自分から好きだっつたくせに」 思ったことをそのまま言ったら、ひょいと肩を竦めて答えたのにとこいつは笑う。 「多分初めて会ったときからかな。でなきゃお前みたいな面倒くさい奴なんて見捨ててるつうの」 「!……」 そして掴まれてた腕を引かれ、また抱き締められる。 そのまま告げられた言葉におれは、どう反応していいかわからなくなる。
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