キスの行く先

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受け取ったこいつはしばらく眺めたあと、いきなりそれを俺の胸元に押しつけてきた。 「んだよ?」 「……やる」 は? あれほど返せと騒いでいたのに、と首をひねれば俯いたままのこいつがさらにそう呟くから意味がわからなくなる。 「やるって、貰ったんだろ。それ」 「な、わけないだろう!というかなんでそうなる!」 だからついさっきの予想を口にだしたらものすごい勢いで顔をあげたアーズリーに睨まれた。 「おれが、お前にと考えないのか……」 その剣幕に虚を突かれていたら、我に返ったのかふいと視線を逸らしたままのやつはぽつりとそんな言葉を零す。 え、と……つまり俺の誤解? ますます驚かされる内容にただまばたきを繰り返してしまう。
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