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「信じれるか、そんなもん」
こいつは馬鹿で単純だが、そのかわりこういったことで嘘をつかないのは知っている。
だけど、おれの返した言葉はそんな愛想のないもの。
はいそうですかと頷けないのは、おれがひねくれてるだけ。それもわかってる。
「そ?なら……」
「? なに、っ!?ぁ、ん……」
言ってしまってから自分の偏屈ぶりに呆れていると、両頬を手で挟まれ上を向かされる。
まだ何か言うことがあるのかと素直に従えば、ふっと視界を影が遮った。
一瞬何が起きたのかわからなかった。
けど、揺らいだ影と唇に残った温もりからキスをされたと思い至るも、逃げるまもなく再び唇を奪われる。
「ん、んー…っは、ヴェルテ!」
「実力行使。信じる気になったか?」
ようやく離れた奴を見上げれば、ゆるりと口元に笑みを浮かべながら問われる。
「好きだぜ、アーズリー」
答えに窮していると、また距離を詰めてきたヴェルテはそう囁いて額に口付けてくる。
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