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「この馬鹿、節操なし」
「……」
ひとねむりして元気が戻ったのか、アーズリーはさっきから延々と小言を並べ立てている。
しかし勢いがいいのは口だけで、体は枕を抱えシーツに沈んだままだ。
強引に押し流した手前、分が悪いので黙って聞いていたが文句の単語がループしてきている。
それは本当に怒ってるのではなく、自分の気恥ずかしさをごまかそうとしている証拠。
やれやれ、そろそろか。
ベッドに腰掛けたままちらりと振り向けばアーズリーは、はっとしたあとむすっとした表情で睨んでくる。
ここまできたらこっちも聞く理由もないと、俺はまた愚痴を言おうとしている口にチョコを放り投げた。
「も、そのへんで十分だろ」
「……うるさい」
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