風邪とりんご ver.1

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こちらから声を掛けるはずだっのだが。 「……アズ?」 「……ぁ、ほら体冷やす前に着替えて寝ろ」 上着のボタンを外しきったヴェルテがこちらを向いて首を傾げるのにはっとする。 それにおれは持っていた服を押し付け口早に告げて部屋を出た。 「馬鹿か、おれは」 閉じた扉に背を預け思わず言葉を吐き出す。 その直前に余計なことを考えていたのが悪かったのか。 熱でうっすらと色付き汗が伝い濡れた肌に目を奪われてしまったのだ。 それが抱かれたときに見る情景とだぶって、色っぽいだなんて…… 「って、病人相手になにをやっているんだかな」 また思い出して慌てて顔を手で覆う。 落ち着かせようと一つ息を吐いて、おれはその場を立ち去った。
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