風邪とりんご ver.1

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腕を支えに上半身を持ち上げれば水差しと薬の乗ったお盆が見えた。 「んなのいらねぇよ」 有り難いのに俺はぼそりと吐き捨てる。 「そうは言うが、まだ辛いならちょっとは変わると思うぞ」 「いいからいい加減静かにしてくれ!」 心配されてるのがなぜか気に障る。 だから額に伸ばされた手を反射的に弾いて語気を荒げていた。 手を引っ込め困惑を浮かべる顔にますます苛立ちが募る。 「っ、とにかく寝れば十分だから」 いつもならそこで、その表情に悪いと言ってしまうのに、今の俺は視線を逸らして優しさのない言葉を告げて背中を向けてまた横になって。 他を拒むようにきつく瞼を閉じる。 で相当ぎりぎりだったのかそのまま寝てしまった。
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