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――アーズリー
「……心臓に悪い」
「すまない」
りんご一つに大苦戦の末、剥き終わったおれにヴェルテががっくりとうなだれて呟くのに、おれはただ謝るしかできない。
出来上がった欠片はどれも歪で、もとのより実が小さくなってしまった。
逆に心配かけさせてしまったら意味がないじゃないか……
「ところであんま居ると風邪うつるぞ?」
自分の不器用さにため息をついていたら、それでもその欠片を口にしながらのヴェルテに言われる。
「そう簡単にうつるものでもないだろう」
おれもりんごの入った皿に手を伸ばしながら、そうとだけ返した。
「それとも出て行った方がいいか?」
「いや。アズの好きにすればいいさ」
それから先刻の邪険にされたのを軽く揶揄するように続ければ、ふっと笑ったヴェルテにそっと頬を撫でられる。
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