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はいはいと適当に相槌をうちながらのヴェルテは、おれの体勢をかえて水の入ったグラスを差し出してきた。
「まだちっと熱いな」
それを一気に飲み干し息を吐き出したところで近づいた気配に目を上げたら、額を重ねたヴェルテがそう囁いてくる。
「で、なんで泣いてたんだ?」
「こっちが聞きたいくらいだな。まぁ生理的に出ただけだろう」
ぼんやりと朱色の瞳を覗いていたが、いきなりそんなことを聞かれおれは適当に返す。
「なんだ、一人が寂しくて泣いてたと思ったんだけどな」
「ばっ、そんなわけあるはずないだろうが!!」
しかしヴェルテがくすりと笑って言う内容にかっとなってつい声を荒げた。
だがまだ熱がある体でそんなことをすれば当然くらりと目が回る。
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