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「おい、大丈夫かよ」
誰のせいだと……
そのまま傾いだ体を受け止めてはくれたが、原因なくせしていけしゃあしゃあとのたまうやつを無言で睨みつける。
「悪かったて。でもそんくらい元気があれば平気だな」
おれの体を起こしてそう呟いたヴェルテは、サイドテーブルに手を伸ばして。
取り上げたのはりんごと果物用のナイフ。
苦戦した記憶にむっとしているおれをよそに、ヴェルテはあっという間にするすると皮を剥いていく。
あんな風にできるものなのか?
武骨そうな手からは想像しにくい滑らかな動きで剥かれ、食べやすいサイズに切られていくのをおれはただ呆然と眺めていた。
「なんかむかつく」
「悔しかったら練習しろよ」
やがてほらと皿を差し出され、それを見て思わず愚痴が出てしまう。
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