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しかしヴェルテは飄々と流して笑みを浮かべるだけで、ことさら腹が立つ。
だか言い返す言葉なんてなく、悔し紛れにりんごにかぶりついた。
冷たく喉を通る水っ気と、ほのかな甘さが重怠い体に染み渡っていく感覚におれはほっと息を吐き出す。
「もう一つ持ってくるか?」
「え、あ ……いや、いい。十分だ」
さらに食べるのに夢中になっていたらしく、それまで黙ってみていたヴェルテが笑いながら尋ねるのにおれはようやく皿が空になったのに気づく。
「そ。じゃ大人しく寝ろよ」
「っ!?馬鹿うつったらどうするんだ!!」
間抜けなことをしたと内心で反省していたら頬に手を添えられ、あっと思った瞬間反対側に軽く口付けられた。
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