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何を指しているかすぐにわかったが、失敗を言う気にはなれず言葉を濁す。
「なんかすっげー甘い香りがすんだけど。今日のミッションってこんなに匂いが移るほど人に接触するようなのだったのか?」
「な、そんなんじゃない。これは、その……」
しかし髪の毛に鼻を寄せるヴェルテに変な誤解を持たせてしまったようで、ふとトーンが下がった声にぎょっとして顔を上げた。
「でもこれ明らかに女物の匂いだよな」
でもやっぱり言いたくないと二の足を踏むおれに、向けられたセリフと眇められた瞳にぞくりとする。
あ、怒ってる……
それは残り香が付いている事より、おそらく下手に隠し立てしたせいなのだろう。
アズ、と小さく呼ぶ声におれは誤解を解くべく、さっきの出来事を話した。
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