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――ヴェルテ
いつもとは違う、嗅ぎなれない香りとそれをごまかそうとするこいつにちょっと子供っぽい苛立ちを覚えた。
人に接近して得る情報もあるし、そうしなきゃならないのもわかっているが、隠されるのはやっぱり嫌だと。
が、事実はどうかといえば。
「は?間違えてロッサのシャンプー使ったぁ!?」
こっちのみっともない嫉妬を吹き飛ばすようなくだらない答えで。
自分でも馬鹿らしいと自覚しているのだろう。
むすっとした顔で頷くアーズリー。
と揺れ動いたせいかまた甘い果実とも花ともとれる香りが届く。
それがあまりにも可笑しくて、俺は深夜なのも忘れて声を上げて笑ってしまった。
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