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――アーズリー
寝起きの悪さはいつもだが、あいつと夜を共にすると輪をかけてひどい気がする。
いつもなら目覚ましでなんとかなるのを起こしてもらうまで待ってしまっているのは、甘えているのだろうか。
起きるまでの記憶はおぼろげながらもあるおれは、跳ねた髪を撫でつけていた指で額に触れた。
優しい仕草を思い出して束の間ぼうっとしていたら、いきなり抱きすくめられ驚く。
「!?なんだいきなり」
「いや、動きが止まってたからまだ寝ぼけてるのかなーって」
振り仰げばにやにやと笑うヴェルテと目が合った。
その瞳に浮かぶ色ははろくでもないことを企んでるもので、嫌な予感にドキリとする。
「ばっか、離せ」
「つれねぇなーさっきはあんなに甘えてたくせに」
「っ、うるさい!」
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