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うっかりこのままでいたくなったが、おれは出掛けたい理由を思い出す。
「いい店を見つけたと言ったのは、お前じゃないか」
それは何日か前にヴェルテが教えてくれたこと。
「……そうだったな」
言ってからきっと真っ赤なんだろうと自覚して顔を伏せたら、頭上で笑う気配のあと解放される。
「覚えててくれたから我慢しとく」
ただ額につけたままだった手をとられ、そのまま甲に口付けられた。
それに一気に頬が熱くなって、慌てて手をひっこめる。
「ほら行こうぜ」
あわせて早くなった鼓動を落ち着かせようとしているのに、やつは一人楽しそうに目を細めて入り口に先に行ってしまう。
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