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ほんの少しだけ仕返ししたくなって。
「ヴェルテ」
駆け寄り油断している腕を引いて頬にキスしてやる。
引っ張っただけじゃ差が埋まらなくて背伸びしてやっと届くだけだから、触れたか触れないかのぎりぎりのものだが効き目はあった。
「なっ……」
「続きは帰ってきてから、な」
珍しく赤面したヴェルテに気をよくしておれは、ついそんなことまで口走ってしまった。
「その言葉忘れんなよ」
目許は朱いままだが、それが余計に艶やかにみせる笑みを向けられ、おれはとんでもない言質を与えた気がする。
「わかってる」
しかしその気にさせたのは他ならぬヴェルテだからと、おれは不敵に笑い返した。
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