温もり

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そのおれの言葉に、こいつはやはり予想通り嫌そうな顔をする。 こいつが家具に無頓着なのは知っている。 それを巡ってロッサといつだったか、ものすごく低レベルな攻防戦を繰り広げていたくらいだ。 自室をどう使おうがこいつの勝手だろうが、こうやってここに入り浸っているおれにも意見する権利もあるのではないか。 「一枚あるだけでそれなりに外気も防げるしな」 だからおれはこれ幸いと理屈を並べる。 「それにお前の部屋は日差しがきついんだ。せめてあっちの窓くらいはかけておけ」 さらにそう続けて、先程雨が打ちつけていた窓を指差す。 ヴェルテの部屋は角部屋のため窓が二ヶ所にあるのだが、それが見事に東に向いているので朝は否応なしに日差しが差し込むのだ。
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