温もり

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「どうでもいいんだが、まあアズがそう言うならカーテンぐらいはつけるかな……」 おれが話している間黙って聞いていたヴェルテは、やがて渋々と言った口調で答える。 「それ以外は買わんからな」 もっと渋るかと思えば、あっさり折れたのでおれはこのままどさくさに紛れて他にも買わせようと画策する。 しかしそんなおれの思考に気づいたらしいこいつに、先回りで牽制をかけられる。 それに舌打ちしてみるも、おれを包む温もりに眠気が戻ってきたのでこれ以上は言わないことにする。 「ん、寝るか?」 「ああ……」 肩口に頭を当てたおれに、ヴェルテがゆっくりと髪を梳きながら問うので小さく頷く。 そうしておやすみという言葉とともに、頭にキスをされるのを感じながらおれは目を閉じて眠りに落ちた。 end
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