触れて、確かめて

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目を覚ますと、隣に居るはずのヴェルテの姿がなかった。 手を伸ばしてシーツに触れればすでに温もりもなく、出ていってからかなりの時間が経っていることがうかがえる。 出ていくなら起こしていけばいいものを。 なんとなく置いてけぼりにされたのが気にくわないおれが内心で愚痴りつつ、起き上がったタイミングでやつが戻ってくる。 首にかけられたタオルと、髪の濡れ具合からどうやらシャワーを浴びにいっていたようだ。 「なんで起こしていかなかったんだ?」 「は?俺声かけたら返事したじゃねーか」 こっちがムスッとしてるのに気づかないのか、へらりと笑って持っていたグラスを渡すヴェルテに文句がましい問いかけをしたら、とんでもない答えが返ってきた。
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