触れて、確かめて

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――ヴェルテ いきなりひやりとしたものが腕に触れた。 それがアーズリーの手だとはわかったが、何事かと顔を向けるも気のない返事があるだけで。 まだ寝ぼけてるのか? しかもこっちが訝しむのもお構いなしにぺたぺたと触れるこいつに、どう反応するか迷ってとりあえず好きにさせておく。 だが、途中でその考えが読めない手を気まぐれに取り上げた。 自分とは違い細くしなやかな手も触れた指先はパソコンをいじるせいか固く、またところどころに拳銃でできたタコがあると、最初に握手をしたときとは全然違う感触になっている。 そんな変化が珍しくて指を絡めてあそんでいたら下から翡翠色の目が覗き込むので、俺は適当な返事をして掴んでいた手を解放してやった。
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