無自覚、自覚

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「お前さん、それなんて言うか教えてやろうか?」 話し終えると、こいつはそんなことを言う。 笑っているのが気にくわないが、とりあえずおれは頷く。 もやもやが晴れるならそれに越したことはない。 そう考えたのが間違いだったと答えを聞いて後悔する。 「そりゃお前さんはその相手が好きなんだよ。つまり恋してるって訳だ」 「……は?……はぁ!?」 言われたことを理解できずに眉をひそめる。 その後、ようやく単語が繋がって、おれはそんな声をだす。 恋?あいつにおれが? 「そんなわけ、」 「ないってか?そうか?オレには恋愛感情からくる独占欲にもとれたんだがなぁ」 慌てて否定しようとするも、それを遮って言われた内容におれは今度は首を振って答える。 「ま、ゆっくり考えてみぃや。じゃな」 話す前より混乱した思考に戸惑っているうちに、やつはさっさといなくなってしまう。 ……おれも帰ろう。 酔いが醒めてしまって、おれは仕方なく帰路につくことにした。
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