何食べる?

2/7
前へ
/223ページ
次へ
記号の羅列を読み解いて、情報を得る作業は得意分野だが、根気のいる仕事だ。 だが、そうやって集中するのも好きなので、ついついのめり込んでしまう。 「ふう……」 そして今日も個人で受けた仕事を終えたおれは、イスに深く凭れ逆さまにカレンダーを眺めてから起きあがった。 「うむ、ミッション完了じゃの。ところで何か食べていくかの?」 「あ、いえ……遠慮しておきます」 報告書を出しにバーへ向かい、いつものようにカウンターにいるマスターに手渡す。 それに目を通したマスターは小さく笑って報酬金を代わりに差し出し、それから卓上のメニュー立てを示された。 おそらく何気ない気遣いなのだろうが、おれは内心どきりとする。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加