何食べる?

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こいつにつきあうと胃にきそうなものが選ばれるのはわかっていたが、押し付けた手前おれの手を引いて歩き出したやつに続く。 「けどホットドッグくらいならマスターのとこでもよかったんじゃないのか?」 「ん?だってせっかく天気もいいんだし、狭い室内で食うより気が楽だろ?」 しかしふと気になったことを聞けば、肩越しに軽快な笑みを向けられた。 そんなものなのか。 こいつのそういった観念は時々わからなかったりだが、それでも笑顔で言われると妙に納得してしまう自分自身もわからない。 「まあいいが、いつまでこうしてる気だ」 「いいじゃねーか。誰も気にしちゃいねぇし。ってさっきから聞いてばかりだな」 やがて少し歩調を緩めたのかヴェルテがおれの隣に並ぶので、もう一つの疑問をぶつける。 バーから連れ出された時に腕を掴まれていたはずが、いつの間にか手を繋いでいる状態だ。 人通りの多い表通りをそんな格好で歩いていることが恥ずかしかったのだが、ヴェルテはどこ吹く風でやはり笑うので何も言えなくなる。 さらに嫌かと聞き返されれば、そうでもないので黙って繋ぎ直した。
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