vs Chameleon's boss-3.5

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それからどんなに大口を叩いても、死と紙一重な体験はこいつにも何か思わせることがあったようで、妙に気弱な口調で礼を言われる。 けど予想してないことに二人で言葉に詰まったら、気恥ずかしくなったらしいヴェルテに部屋から追い出されてしまった。 仕方なく外にでると、廊下の曲がり角から手下達が様子を伺っている。 その彼らに大丈夫だと告げ、ついでに報告書の作成も頼んでしまう。 「それで、これからどうするの?」 「とりあえず何か飲みたいな」 手下が散っていくのを目で追っていたらロッサに問われ、廊下の柵から見える食堂を指さした。 ついてくるかと思ったが、ロッサは寝直すとだけ言って自室に向かってしまい、おれは一人階下に降りる。 誰もいないキッチンでカップを一つとって、ふとおれはさらにもう一つ棚からおろした。 並べたカップにコーヒーを注ぎ、少し悩んでから両方に牛乳を足しカフェオレにしてしまう。 本当は嫌がるんだが、今日は我慢してもらおう。 ぶっ倒れて、起き抜けの人間に好きだとはいえ、ブラックコーヒーを持って行くのは気が引けたのだ。
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