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このまま屁理屈を押し通そうかと考えた。
「お前に怒っているのではない。ただ、今回の作戦はあれでよかったのかと考えてしまってな」
しかしそれを信じ納得するほど鈍くはないこいつに、おれは昨夜思ったことを話す。
「他の手があったんじゃないのか、お前一人に十五右衛門の相手をさせずに済んだんじゃないかって……」
言葉を紡ぐほどやりきれなさが広がってやつの胸元を押し返していた手は、気づけば服を握りしめていた。
「アーズリー」
「なん、っい!? いひゃ……」
それを黙って聞いていたヴェルテが呼ぶのに目を上げかけるが、いきなり両頬を抓られ驚いた拍子に変な声をあげてしまう。
「いつもの自信満々なお前らしくねぇからさ。この仕事がこっちの予想を裏切ることがあることくらいわかってるだろ?だからそれをお前が気に病む必要はないさ」
力一杯にやられ涙の滲む目で睨めば、手を離し笑いかけられる。
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