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でも、感情とはままならないものだと、おれは数日経た今になって思い知る。
知ってしまえば、それは明確な形を成し、さらにおれの思考を占めていく。
ましてや毎日のように顔を合わせる相手だからなお厄介だ。
会いたくないのにバーに入ると、つい癖であいつを探してしまうし。
あの赤髪はよく目立つ。加えて背もあるので、見失うことはまずない。
あ、いた。じゃなくて……
必要以上に会いたくないのに、探して、見つけてしまえば気がつくと近づいている。
ああ、全くもってあのソーレの言うとおりだ。
おれはあいつが、ヴェルテが好きなんだ。
もう知らなかった頃には戻れない。
人混みを抜けながらそんなことを考える。
でも言うわけにはいかない。
それが辛い、なんて思ってみたりする。
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