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これで慌てたりしたら日頃の仕返しとばかりに、やり返すのもできたのに。
心の片隅で残念さを持て余しながらちらりとヴェルテを見る。
耳付きのヘアバンドはともかく、ロッサが見立てたであろう他のアクセは案外こいつに馴染んでいて。
そもそも何気におしゃれなんだよな。
普段タンクトップにカーゴパンツなイメージしかないが、意外にも着る服にこだわりがあるようで、まめに雑誌とかをチェックしていたりするのだ。
「アズ、あぶねーぞ」
「は？っう……」
それで不覚にも格好いいだの考えていたら、なぜか背後から声をかけられる。
はっと前を見るも同時に突き当たりの壁にぶつかり思わず呻いた。
「大丈夫か？」
「もっと早く言え」
くすくすとこらえるように笑い、肩を叩くヴェルテを痛みで涙が滲む目で睨む。
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