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「悪かったって。あ、なあアズ、trick or treat」
「それこそ今更だな」
肩に乗せられた手を払いのけ、部屋に戻ろうとしたおれの手を掴み、引き止めたヴェルテが笑いかけて続ける言葉を呆れ口調で返す。
「いいじゃねーか。どうせ菓子目当てじゃねぇし」
「は?なら端からいたずらする気しかないのか」
しかしこいつは相変わらずけろりとしていて、そのまま廊下の曲がり角まで連れていかれる。
さらに腕を取る手に力が入るのにおれはふりほどこうとするが、一手早く抱き寄せられた。
「あ、それもいいな。でも俺としてはお前自身が欲しいだけだし」
それから今になって思いついたように呟いたあと、顎をとって上向かせたおれに軽い口づけを落とされる。
すっと離れても、触れられそうな距離で言われた内容を一瞬驚きでとらえ損ねる。
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